日常生活でできる防虫習慣の提案

2025年9月
  • 蜂に刺された!その時の正しい応急処置

    万全の注意を払っていても、不測の事態で蜂に刺されてしまう可能性はゼロではありません。万が一、刺されてしまった場合に備え、正しい応急処置の方法を事前に頭に入れておくことは、自らの身を守るための最後の砦となります。パニックにならず、冷静に行動することが何よりも重要です。まず、刺された瞬間にやるべきことは、ただ一つ。「速やかにその場から離れること」です。蜂は、仲間を呼ぶための警報フェロモンを放ちながら攻撃してきます。同じ場所にとどまっていると、巣から飛び出してきた他の蜂による集中攻撃を受ける危険性があります。最低でも20メートル以上、できれば屋内などの安全な場所まで避難してください。安全な場所に移動したら、次に傷口の処置を行います。もし、ミツバチに刺されて針が残っている場合は、指でつままず、毛抜きやカードのようなもので横に払うようにして取り除きます。そして、傷口の周りを指で強くつまみ、毒液を絞り出すようにします。この時、口で吸い出すのは絶対にやめてください。口の中に傷があった場合、そこから毒が体内に入ってしまう危険性があります。ポイズンリムーバーがあれば、それを使うのが最も効果的です。毒を絞り出したら、次に水道水などのきれいな流水で、傷口をよく洗い流します。これにより、傷口に付着した毒や汚れを洗い流し、化膿を防ぎます。その後、患部を保冷剤や氷嚢などで冷やしてください。冷やすことで、血管が収縮し、毒の吸収を遅らせるとともに、痛みや腫れを和らげる効果があります。応急処置はここまでです。最後に、抗ヒスタミン成分やステロイド成分が含まれた軟膏を塗り、様子を見ます。通常はこれで徐々に症状は治まっていきますが、もし、刺された箇所以外にじんましんが出たり、息苦しさや吐き気、めまいといった全身症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。これは命に関わる緊急事態ですので、ためらわずに救急車を呼んでください。

  • 蛞蝓は危険?触れてはいけない本当の理由

    害虫

    庭先で見つけた蛞蝓を、子供が珍しがって触ろうとしている。あるいは、家の中に侵入してきた一匹を、ティッシュ越しにつまむのもためらわれる。その直感的な嫌悪感は、実は、私たちの身を守るための、極めて正しい防衛本能かもしれません。蛞蝓は、その見た目の不快さ以上に、私たちの健康を脅かす、見えない「危険」をはらんだ生き物なのです。その最大の危険性、それは「寄生虫」の存在です。蛞蝓やカタツムリは、「広東住血線虫(かんとうじゅうけつせんちゅう)」という寄生虫の中間宿主となることが知られています。この寄生虫は、本来はネズミの肺動脈に寄生するものですが、その糞と共に排出された幼虫を蛞蝓が食べることで、その体内に寄生します。そして、もし人間が、この寄生虫を持った蛞蝓に直接触れたり、あるいは、蛞蝓が這った後の野菜などを、知らずに生で食べてしまったりすると、寄生虫が人間の体内に入り込んでしまう可能性があるのです。人間の体内に入った広東住血線虫は、成虫になることはできずに死滅しますが、その過程で脳や脊髄に移動し、好酸球性髄膜炎という、激しい頭痛や発熱、麻痺などを引き起こす、重篤な病気の原因となることがあります。日本での感染例は稀ですが、死亡例も報告されており、決して軽視できないリスクです。したがって、蛞蝓に対しては、以下の鉄則を絶対に守ってください。第一に、「絶対に素手で触らない」。第二に、「駆除した後は、必ず石鹸で手をよく洗う」。第三に、「蛞蝓が這った可能性のある野菜は、必ずよく洗ってから食べる」。これは、家庭菜園などを楽しむ方にとっては特に重要です。また、ペットが蛞蝓を食べてしまうことでも感染のリスクがあるため、犬や猫を飼っているご家庭では、庭の蛞蝓駆除はより重要となります。蛞蝓は、ただの不快な生き物ではありません。それは、潜在的な健康リスクを運ぶ、危険な媒介者でもある。その事実を、決して忘れないでください。