化学合成された殺虫剤の匂いが苦手、あるいは、小さな子供やペットがいるため、できるだけ安全な方法で蜘蛛を遠ざけたい。そんなナチュラル志向の方にぜひ試していただきたいのが、植物の香り、すなわち「アロマ」の力を借りた、蜘蛛の忌避対策です。蜘蛛は、人間にとっては心地よいと感じる特定の香りを、本能的に嫌う習性があると言われています。この性質を利用すれば、家の中に香りのバリアを張り、蜘蛛が自ら寄り付かない、快適でクリーンな空間を作り出すことができるのです。蜘蛛が特に嫌うとされる香りの代表格が、清涼感のある「ハッカ油(ペパーミント)」です。その主成分である「メントール」の強い刺激臭を、蜘蛛は非常に嫌います。この他にも、レモンやオレンジ、グレープフルーツといった「柑橘系の香り」、スッキリとした香りの「ユーカリ」や「レモングラス」、そしてリラックス効果で知られる「ラベンダー」なども、同様に蜘蛛を遠ざける効果が期待できると言われています。これらの香りを活用する最も手軽な方法が、「手作りのアロマスプレー」です。作り方は非常に簡単。無水エタノール10mlに、お好みの精油(ハッカ油など)を10~20滴ほど垂らしてよく混ぜ、そこに精製水90mlを加えてさらに混ぜれば完成です。これを、蜘蛛が侵入してきそうな窓枠や網戸、玄関、あるいは巣を作りやすい部屋の隅などに、週に一度から二度、定期的にスプレーしておきましょう。アロマディフューザーを使って、部屋全体に香りを拡散させるのも良い方法です。また、より手軽な方法として、コットンや素焼きの石に精油を数滴垂らし、それをクローゼットの中や家具の隙間、本棚の隅などに置いておくのも効果的です。ただし、これらの自然由来の香りは、効果が比較的穏やかで、持続時間もそれほど長くはありません。あくまで、蜘蛛が「少し居心地が悪い」と感じる環境を作るための、補助的な予防策と位置づけるのが良いでしょう。掃除の仕上げにシュッと一吹きすれば、家が心地よい香りに包まれると同時に、蜘蛛除けにもなる。そんな、一石二鳥の心地よい習慣を、今日から始めてみてはいかがでしょうか。