庭先やベランダで蜂の巣を見つけた時、専門業者に依頼すべきか、それとも自分で対処できるのか、迷うことがあるかもしれません。この判断を誤ると大変な危険を伴うため、いくつかの明確な基準を知っておくことが重要です。まず最も大切な判断材料は、蜂の種類です。もし巣の主がスズメバチであるならば、答えは一つしかありません。絶対に自分で駆除してはいけません。スズメバチは極めて攻撃性が高く、毒性も強いため、巣の大小にかかわらず速やかに専門業者に連絡してください。巣が特徴的な縞模様であったり、蜂の体が大きく黄色と黒のコントラストがはっきりしていたりする場合はスズメバチの可能性が高いです。一方で、比較的おとなしいとされるアシナガバチの場合は、条件によっては自分で駆除できる可能性も残されています。ただし、それには厳しい条件が付きます。第一に、巣の大きさです。作り始めの段階で、直径が5センチ以下、働き蜂の数も数匹程度であれば、市販の殺虫スプレーで対処できる場合があります。巣が大きくなり、蜂の数が増えてくると、スプレーを噴射しても全ての蜂を一度に仕留めきれず、反撃に遭うリスクが急激に高まります。第二に、巣のある場所です。開けた場所で、自分の身長よりも低い位置にあり、万が一の場合にすぐに屋内へ避難できる経路が確保されていることが絶対条件です。脚立を使わなければ届かないような高所や、屋根裏、床下などの閉鎖的な空間にある場合は、作業の危険性が格段に増すため、プロに任せるべきです。第三に、作業を行う時間帯です。蜂は夜になると活動が鈍り、巣に戻ってきます。駆除を行うなら、日没後2~3時間経った、蜂が巣で休んでいる時間帯を狙うのが鉄則です。これらの条件を全てクリアし、かつ厚手の長袖長ズボン、帽子、手袋などで肌の露出を完璧になくせる場合に限り、自己責任での駆除という選択肢が浮上します。しかし、少しでも不安を感じるならば、迷わず専門家に相談することが、安全を守るための最善策であることに変わりはありません。