ゴキブリほどの衝撃はないものの、じわじわと精神を蝕んでくるのが、キッチンや水回りで発生する、コバエやチョウバエといった小さな虫たちです。一人暮らしの部屋は、スペースが限られている分、彼らの存在がより一層気になり、不快感を増幅させます。これらの小さな虫たちとの戦いを制する鍵は、目の前を飛ぶ一匹を叩くことではなく、彼らが生まれてくる「発生源」を、徹底的に叩くことにあります。まず、キッチンで発生する「コバエ(主にショウジョウバエ)」の発生源は、ほぼ間違いなく「生ゴミ」と「食品」です。彼らは、果物の皮や、野菜の切りくず、あるいは飲み残しのジュースやアルコールの匂いに強く誘引され、産卵します。対策は、生ゴミを蓋付きのゴミ箱に捨て、こまめに処分すること。そして、食べ物や飲み物を、出しっぱなしにしないことです。三角コーナーは、彼らにとって最高の繁殖施設。こまめに清掃するか、いっそのこと撤去してしまうのも一つの手です。次に、浴室や洗面所で発生する「チョウバエ」です。彼らの発生源は、排水溝の内部に溜まった「ヘドロ」や「ヌメリ」です。髪の毛や石鹸カス、皮脂などが混じり合ったこの汚泥の中で、彼らの幼虫は育ちます。対策は、定期的な排水溝の清掃です。市販のパイプクリーナーを流し込んだり、60度程度のお湯を流して、卵や幼虫を死滅させたりするのが効果的です。一人暮らしは、掃除をサボっても、誰にも咎められません。しかし、その小さな油断が、不快な虫たちに繁殖のチャンスを与えてしまうのです。ゴミの管理と、水回りの清掃。この二つの基本を徹底するだけで、小さな虫たちのいない、快適で衛生的な生活空間を、簡単に手に入れることができるのです。