万全の注意を払っていても、不測の事態で蜂に刺されてしまう可能性はゼロではありません。万が一、刺されてしまった場合に備え、正しい応急処置の方法を事前に頭に入れておくことは、自らの身を守るための最後の砦となります。パニックにならず、冷静に行動することが何よりも重要です。まず、刺された瞬間にやるべきことは、ただ一つ。「速やかにその場から離れること」です。蜂は、仲間を呼ぶための警報フェロモンを放ちながら攻撃してきます。同じ場所にとどまっていると、巣から飛び出してきた他の蜂による集中攻撃を受ける危険性があります。最低でも20メートル以上、できれば屋内などの安全な場所まで避難してください。安全な場所に移動したら、次に傷口の処置を行います。もし、ミツバチに刺されて針が残っている場合は、指でつままず、毛抜きやカードのようなもので横に払うようにして取り除きます。そして、傷口の周りを指で強くつまみ、毒液を絞り出すようにします。この時、口で吸い出すのは絶対にやめてください。口の中に傷があった場合、そこから毒が体内に入ってしまう危険性があります。ポイズンリムーバーがあれば、それを使うのが最も効果的です。毒を絞り出したら、次に水道水などのきれいな流水で、傷口をよく洗い流します。これにより、傷口に付着した毒や汚れを洗い流し、化膿を防ぎます。その後、患部を保冷剤や氷嚢などで冷やしてください。冷やすことで、血管が収縮し、毒の吸収を遅らせるとともに、痛みや腫れを和らげる効果があります。応急処置はここまでです。最後に、抗ヒスタミン成分やステロイド成分が含まれた軟膏を塗り、様子を見ます。通常はこれで徐々に症状は治まっていきますが、もし、刺された箇所以外にじんましんが出たり、息苦しさや吐き気、めまいといった全身症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。これは命に関わる緊急事態ですので、ためらわずに救急車を呼んでください。