家の中で発見したうごめく白い虫を、全て「ハエの幼虫(ウジ虫)」だと決めつけてしまうのは、実は早計かもしれません。世の中には、ウジ虫とよく似た姿や生態を持つ虫がいくつか存在します。正しい駆除と対策のためには、その正体を正確に見分けることが重要です。まず、ウジ虫と最も間違えやすいのが「アメリカミズアブの幼虫」です。この幼虫は、生ゴミやコンポスト、堆肥などから発生するため、ウジ虫と発生場所が重なります。しかし、よく見ると違いがあります。ウジ虫が乳白色で柔らかそうな見た目をしているのに対し、アメリカミズアブの幼虫は、色がより黒っぽく、ゴツゴツとした硬い殻に覆われているような印象です。動きもウジ虫に比べて鈍く、あまり活発ではありません。不快な見た目ではありますが、衛生害虫としての害はウジ虫より少ないとされています。次に、キッチンの食品庫や米びつで発見される可能性があるのが、「ノシメマダラメイガ」などの食品害虫の幼虫です。これらも白いイモムシ状ですが、よく見ると小さな脚があり、頭部が茶色いのが特徴です。また、移動した跡に糸を吐く習性があります。発生場所が「腐敗物」ではなく、「乾燥した穀物や食品」である点が、ウジ虫との決定的な違いです。お風呂場や湿った壁などで見かける、白くて非常に小さい(一ミリ程度)虫の場合は、「チャタテムシ」や「トビムシ」の可能性があります。これらはカビを食べる虫で、ウジ虫のようなイモムシ状ではなく、脚があり、種類によってはピョンピョンと跳ねます。見分けるための最大のポイントは、「発生場所」と「見た目の詳細」です。腐った生ゴミから発生し、脚がなく、頭が細いイモムシ状であれば、ほぼウジ虫で間違いありません。しかし、発生場所が乾燥食品であったり、脚があったり、色が黒っぽくて硬そうであったりする場合は、他の虫の可能性を疑ってみましょう。正しい同定こそが、効果的な対策への最短ルートとなるのです。
それ、本当にハエの幼虫?間違いやすい虫との見分け方